【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 なんとか日が沈み切る前に、ボイド家の屋敷に着いた。自動車の音を聞きつけたライオネルが外に飛び出してきて、アイリーンが車から降りるのを待っていた。
「義姉さん、お帰りなさい」
 アイリーンが地面に足をつけるや否やライオネルが飛びついてきたので、アイリーンは一歩下がってしまった。
「どうしたの? ライ。甘えん坊さんになったんじゃないの?」

「そんなことありませんよ」
 アイリーンから離れたライオネルは、少し背が伸びたようだ。
「先ほど、ランスロット卿が義父(とう)様のことを訪ねてきました」
 三日前にモントーヤ伯に相談して、そこから彼が息子に手紙を書いての今日とは、なかなか早い行動だ。休みをとっていたから、わざわざ屋敷にまで足を運んでくれたのだろう。

「そうか」
 心当たりが大いにあるが、ライオネルに気付かれないように表情には出さない。

「義姉さんとの婚約がどうのこうのと言っていましたが?」
 ジロリとライオネルが父親に視線を向けた。

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