【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 父親がアスカリッドから帰国し、国王との謁見と重鎮諸々との会議の結果をプーランジェの国王陛下へ報告したところ、非常に大喜びだった。というのはアスカリッドで受け取った手紙にも書いてあったから、アイリーンも知っている。問題はその後だったらしい。
 通訳として活躍したアイリーンの働きを耳にした国王陛下は、やはりアイリーンを息子である王太子の婚約者候補にしたいとか言い出したらしい。それに反対したのは父親で、一度辞退したにも関わらずもう一度名乗りをあげるのは周りに示しがつかない、と。
 だが国王は、アイリーンがアスカリッドに留学している間に向こうの誰かと恋仲になって向こうに嫁がれたらプーランジェの損失だ、とか言い出す始末。だから、こちらで早急に婚約者を決めておけ、と突っつかれたと言うのだ。それで父親は急いで誰かめぼしい人を探す羽目になったのだが。
 とりあえず思いついたのがランスロットであり、アイリーンを迎えに行く途中に屋敷に寄ったとき、モントーヤ伯に相談したとのこと。それを聞いた彼は暴走してすぐに息子へ連絡を入れた、という流れのようだ。
 とにかく、相談する人物を間違えている。

「状況はわかりました。ですが、できましたら陛下にお伝え願えませんか?」
 アイリーンははっきりとした口調で父親に言う。
「私は、勉強をするためにアスカリッドへ留学しているのであって、伴侶を探すために行っているのではありません。ですから、ご心配なさるようなことは何もありません、と」

「そうだな。少し、言葉はかえておくが。そのような内容を伝えておくよ」

「よろしくお願いします。余計なお世話ですと、お伝えください」

「うん、それは無理だな」
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