【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「では、楽しみにしていますね」
 そこでライオネルは絵を放した。だが、アイリーンの心の中は汗がダラダラと流れている。今はカラーで背景画の練習をしていたが、ここに人物を描いたとしたら。
 多分、ライオネルには見せられない。そして、どんな本であるかも口にはできない。
 ええ、とは返事をせず、笑顔で誤魔化した。

「義姉さん、下で義母さまが待っています」

 ライオネルはアイリーンの左腕を掴んだ。思ったよりも力強く掴まれたため、アイリーンは驚いた。

「どうかしましたか?」

「いいえ」
 そこでアイリーンは笑みを浮かべた。ライオネルはこの義姉の笑顔が好きだった。初めてこの家に来た時も、こうやって笑顔で迎え入れてくれたことを思い出す。

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