【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 アイリーンが答えると、彼は恥ずかしそうに笑っていた。だが、それはアイリーン自身にも言える言葉でもあった。好きなことを好きと言いたい。だけど、言えない好きもある。ランスロットの前ではかっこつけてみたけれど。
 堂々とビーでエルが大好きだと言ってみたいものだ。無理だが。
 人前に出せる好きと出せない好き。それの違いは何なのだろうか、と真面目に考えてみる。

 アスカリッドの宿についた。ここからは自動車では入れない場所だ。降りるときにランスロットが手を差し出してくれたので、アイリーンはそれに甘えた。

「長旅、お疲れ様」

「こちらこそ、わざわざ送ってくださりありがとうございます」

「せっかくアスカリッドに来たけれど、もうすぐ日が暮れてしまうね」
 宿まで並んで歩く中、二人は口を開いた。

「でしたら。イルミネーションを見に行きませんか? あの、お疲れでなければの話ですが」

「イルミネーション?」

「はい。このアスカリッドではイルミネーションで新しい年を迎えるそうです。狼の月いっぱいは、楽しめるそうです」

< 249 / 365 >

この作品をシェア

pagetop