【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 何枚かアデライードから絵のリクエスト、つまり修正の依頼が入ったが、基本的には長期休暇中に描いたもので満足してもらえた。

「まだ時間もあるから、ゆっくりでいいのよ?」
 アデライードは優しく言ってくれるが、これから学院が再開すると時間が捻出できるかもわからない。だから、アイリーンとしてはできるうちにやっておきたかった。数枚の直し程度であれば、学院の勉強との両立もできるだろうと考えていた。

「そうそう。あなたのお父様からの手紙も受け取ったわ。ありがとう。手紙を読んだけど、アイリーンちゃんのお父様って感じがしたわ。それにアイリーンちゃんの活動も、正式に認められたみたいね?」
 アデライードの言っている意味がわからない。ただ、アスカリッドで本の出版を手伝いする、としか言っていなかったはず。
「国として後押しする、みたいなことが書いてあったわ」
 何かを手にしていたら、間違いなくそれを落としていただろう。力が抜けて。アイリーンは思い出す。父親はなんて言っていた? 汗にならない汗が流れ始める。

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