【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 ノエルは家の方から呼び出されてしまったらしい。だから、彼女は不在。いつもいるノエルがいないと、寂しいような気もするし、こうやってアデライードと二人で会うのは恥ずかしいような気もする。

「じゃ、行こうか? アイ先生」

 先生という響きに、アイリーンは急に顔が火照ってしまった。恥ずかしい、の極み。

 今日は月雲の新装版の発売日だ。たまたま学院の休みの日と重なったため、書店を覗きに行こうという話になった。事前にナミカには話を通してある。サインを書いてくれるならオッケーよ、という下心丸出しの返事がきた。
 アデライードと並んで歩くと、ノエルと歩いたときとは違う視線を感じることに気付いた。多分、女性からの視線だ。アデライードは客観的に見ても格好いいと思う。好みの問題もあるかもしれないが、女性の八割はそう思うに違いない。その八割の視線を感じたのだ。

「アディ先生」
 アイリーンは帽子をさらに深くかぶった。
「なんか、視線を感じませんか?」

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