【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 アイリーンに選択の余地は無い。テーブルの上に広げていたものを片付けて、アデライードの後ろをついてカフェを出る。アイリーンはつばの広い帽子を深くかぶり直した。彼と並んで歩くと、視線が刺さって痛いのだ。
 連れていかれた場所はレストラン。そして個室。
「好きなもの、頼んで」
 と言われても、胸もいっぱいで何を頼んだらいいかわからない。ということを素直に話したら、アデライードが適当に頼んでくれた。食事というよりは、軽食をしに来た感じ。彼が頼んでくれたものも、デザートの延長のようなもの。

「それでね、アイリーンちゃん」
 アデライードはアイリーンの知っているアデライードに戻った。キャラ変はやめたらしい。個室だし、他に人もいないし、わざわざキャラを作る必要もないのだろう。

「先ほども言った話だけれど、アイリーンちゃんが描いていた絵を使った物語。それを本にしない?」
 絵を使った物語とは漫画のこと。
「ああいった本はないでしょう? 大人も子供も読みやすいと思うのよね。だから、作品を知ってもらうのにはいいアイディアかなと思って」
< 271 / 365 >

この作品をシェア

pagetop