【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 ノエルはちらりとアイリーンに視線を向けたが、アイリーンはその視線を受け止めてニコリと笑っている。
「きっと、エルには負けたくないっていう気持ちが強いんでしょうね」
 ノエルにとっては予想外の答えだったが、アイリーンにとってはそれしか思いつかない。特段、イブライムと一緒に勉強をした記憶はない。ただ、イブライムに聞かれたら答える、っていうその程度。ノエルと同じように特別な資料を作るとか、そういったことはしていない。だから、彼がテストで点数をあげたというのは、それだけ彼が勉強をしたということだ。

 あの約束のために?

 ふとアイリーンは思い出したが、立場上、勉強しなければならない時もあるのだろうということで、勝手に納得しておいた。

「そういえば、聞いたわよ」
 ノエルがお菓子をつまみ始めた。どうやら、読書タイムは終わって休憩のようだ。アイリーンも読みかけの本にしおりを挟んで閉じた。ノエルに付き合い、お茶を飲むことにした。彼女の隣に座る。

「収穫の月に、リーンが本を出すんですって?」

「エルは相変わらず情報が早いですね」

< 287 / 365 >

この作品をシェア

pagetop