【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 残された二人。その二人の間に風が流れていく。

「リーン」
 また、イブライムに両肩を掴まれた。
 さすがに三度目となると、この後のオチもわかりきっているため照れる。アイリーンはイブライムの顔を見ることができない。視線は足元を見つめたまま。
「オレと恋人同士になって欲しい」

「はい」
 アイリーンは小さく返事をした。
「え?」
 イブライムはその答えが意外だったらしい。
「本当に、いいのか?」

「ご迷惑でなければ」

「迷惑なわけがあるか」
 そこで、アイリーンはやっと顔を上げた。多分、アイリーンの顔はすっかりと茹で上がっていることだろう。なぜならば、風が気持ちいいからだ。だが、それにも負けずイブライムの顔もすっかりとできあがっていた。
 イブライムと目があう。彼の目は優しい。アイリーンの趣味を受け入れてくれた彼。その彼の顔が近づいてきて。

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