【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「ちょっとお待ちください」
 アイリーンは両手でイブライムの顔を押さえた。

「あの。その辺に、いらっしゃるんですよね? その、護衛みたいな人が」

「いるかもしれないし、いないかもしれない」

「だって、ユミ様は。先ほど、今はいない、って言っておりました。だから、ユミ様がいなくなった今、いるかもしれません」

「そうかもしれない」

「だから、ちょっとお待ちください、と言いました」

「なら、いつまで待てばいい?」

「ええと。二人きりになれるまで?」

「うーん、それは困った」
 困るんだ、とアイリーンは思った。でも、二人きりになれないと困るのはアイリーン。そんな人前で口づけだなんて、恥ずかしくて鼻血が出そう。

「では、今はこれで我慢するよ」
 言うと、イブライムはアイリーンの右手をとり、その甲に口づけをした。
 ダメだ。恥ずかしすぎて鼻血が出る。
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