【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 可愛らしい咳払いが聞こえた。向かいに座っているモイラだ。それに父親は笑みを浮かべた。

「まあ。そうなるとだな。ソフィア嬢の婚約者にと考えていたフルーム卿の相手が空いたということだ」
 ここで言うフルーム卿はジェリアンの兄のことだろう。

「まさか、そこで」

「その、まさかだよ。フルーム卿の婚約者にお前はどうか、という話がきてな」

「だから、あれほど私のことは放っておいてくださいと言ったじゃないですか」

 アイリーンは腕を組み、視線を父親とは反対側に向けた。

「まあ。そんな感じでだな」
 アイリーンがそっぽを向いたからか、歯切れの悪い父親。
「すっかり巻き込まれてしまった、というわけだ」

「ジェリアン様のお兄様は、たしかジェリアン様より五つほど年上だったと聞いております。今まで、その、他の方とそう言った話は出なかったのでしょうか?」

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