【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「出なかったわけではないが。フルーム卿のあの風貌がな」
 と言うまたまた歯切れの悪い回答。ただ、アイリーンはそのジェリアンの兄を見たことがないため、父親の言う風貌が想像できないが。

「ソフィアさんとお似合いだとお聞きしましたが」

「ソフィア嬢は、フルーム卿を慕っていたようだし、フルーム卿もまんざらではなかった」

「でしたら、ソフィアさんとジェリアン様のお兄様がご一緒になった方が良くないですか? このままソフィアさんと殿下が婚約なさっても、三人が幸せになれるとは思いませんが」

「それもそうなんだが、そう理想通りに事が進まないときだってある」

「そもそもディミトリー殿下は、どなたが好きなんでしょう」
 その問いに父親は何も答えなかった。アイリーンも答えを期待していたわけではなかった。
 プーランジェとアスカリッド。二つの国のそれぞれの王子。あまりにも対称的な状況。

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