【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 アイリーンが切り出す。多分、誤魔化すことはできないし黙っていることもできないだろう。
 先ほど手にしたある物をそっと差し出す。

「これが、私がアスカリッドでお手伝いしている本です」
 月雲の新装版と、そしてこれから発売される月雲の漫画本。
 母親が手に取り、中身をパラパラとめくる。
「あら、アスカリッドの言葉なのね。残念。それで、リーンは何をしたのかしら?」

「あの。その絵を描いています」

「義姉さん。この本は絵しかありませんが?」
 ライオネルが手にしたのは、漫画本の方。

「これは、漫画といって、こうやって絵とセリフで物語がすすむの」

「へー。面白いですね。絵があるから、登場人物の表情とかもわかりやすい。義姉さんはどこを手伝ったんですか?」

「あ、えと。この本は、私が全部」

「え? 義姉さんが全部描いたんですか?」

「原作は別な先生だけれど。その原作を元に」

「へー。これ、僕、読みたいです」

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