【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「エルに悪いことをしてしまったかしら」
 アイリーンが呟くと。
「あいつもこれからジョアとデートだから、お互い様じゃないのか? それよりも、おかえり」

 イブライムからおかえりと言われることが不思議な感じもしたのだが、なぜか嬉しくもある。

「ただいま」
 と口にすると、やはりもうアスカリッドが帰って来るべき場所のような気もした。

「今日は大事な日だったのではないか?」

「はい。私が描いた本が発売されました。イブ様にも読んでいただきたくて。それから、こちらはユミ様の分です」

 アイリーンが差し出した二冊の本をイブライムは受け取った。原作がビーでエルな漫画ではあるが、それを想像させるような表紙ではない。

「これを全部、リーンが描いたのか?」

「はい。原作、お話の元は別な先生ですが」

「ああ、エルの叔父と言っていたな」
 アイリーンは頷く。
「今、読んでもいいか?」
 それにも頷く。アイリーンも先ほど閉じた本を再び開いた。また、静かな時間を共有する。そしてたいていこの静かな時間を打ち破るのは、漫画を読み終えた方。

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