【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「手続きは以上です」
 父親が必要な書類全てにサインを終えると、事務官はそう言った。

「アイリーンさん。この学院で過ごす二年間が、あなたにとって有意義な時間であることを願っています」

「はい。私もプーランジェとアスカリッドの架け橋となれるように、ここで勉学に励みたいと思います」
 そのアイリーンの言葉に、学長の顔はさらにほころんだ。事務的な事務官も少し笑顔を浮かべている。
「お互いの国を理解し合うために制度を作りましたが、今まで利用した学生が少ないというのはとても残念に思っています。それでもアイリーンさんのような方が来てくださったことを嬉しく思います。できれば、こちらからも近々プーランジェへの留学生を出したいと思っているところではありますが」

「そのときは、その学生がプーランジェで安心して学生生活が送れるように、我がボイド家の方でサポートさせていただきます」
 その後手早くプーランジェ語で父親の耳元で囁いた。

「アイリーンさんは、こちらの言葉もよく勉強なさってきたようですね」
 学長のその言葉に、はい、とだけ頷いた。

「アイリーンさん。これから少し当学院の中を案内いたします。隣国からの留学生ということもありますので、初日はまたここへ来てください」
 事務官のその言葉に頷いた。そこへ父親が「なんだって?」と聞いてきたので、これから学院の中を案内してくれるそうです、と囁いた。
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