【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 学院での用事が済んだため、父親と一緒に馬車で王宮へと向かう。自国の王宮にさえも足を踏み入れたことは、ほんの数回。しかも、父親の忘れ物を届けるために。それなのに今回は、公務としてアスカリッドの王宮を訪れている。
 まずは国王陛下との謁見。その後、この国の重鎮たちと今後についての打ち合わせらしい。挨拶程度じゃなかったの? 結構、ガチじゃないか、とアイリーンは思っているが、多分、一番そう思っているのは父親。自国のボス、もとい国王陛下にいいように使われていることに気付いているのだろうか。

 そんななか、アスカリッドの国王陛下はとても優しい顔立ちをしていた。その金髪がゆるくふわりと流れているのは、先ほどのノエルとよく似ている。
 謁見は難なく終わり、次は会議の場所へと案内されたが、国王陛下が優しいのは顔だけで、実はおしゃべり好きだった。これは後でノエルに確認しておこう、とアイリーンは思った。
 というのも、通訳に疲れた、というのが本音。この後も会議に同席して通訳、となると、頭痛がする思い。父親じゃなくても自国のボスに恨みの一つや二つや三つくらい、言ってやりたい。

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