【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 周囲がざわついた。誰もアイリーンがその申し出を断るとは思ってもいなかったのだろう。そもそもこの学院で生徒会の役員に選ばれたと言えばとても名誉なこと。成績上位者であるクラス一の者しか所属できない。さらに、家柄とかコネとかが重要となってくる。

「私には荷が重いのです。まだ、こちらのこともよくわかりませんので」
 と言う言葉を続けると、イブライムはにっこりと微笑む。

「だからです。生徒会という仕事を通して、この学院とこの国のことを学びませんか?」
 逃げ道を塞がれてしまった。でも生徒会に入れば、先日会った会長と会計のカップリングが楽しめるということか。うーん、悩む。

「そこまでおっしゃるのであれば」
 と呟きながらも、アイリーンは決断できない。困ってノエルの方に視線を向けると、彼女もニッコリと笑っている。

「大丈夫よ、リーン。私もいますから。文芸部と生徒会、どちらもよろしくお願いしますね」
 ノエルにここまで言われてしまっては断るにも断れない。

「はい。よろしくお願いします。お世話になります」
 アイリーンはペコリと頭を下げた。

 その答えにイブライムは大変満足して、今まで誰にも見せたことないような笑顔を浮かべていたことに、アイリーンは気付いていない。それに気付いたのはノエルと黒髪眼鏡ことジョアキナのみ。
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