【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「ここ、空いてるかな」
 と、昼食のトレイを持った男が現れた。

「げ」と露骨に嫌な顔をするのはノエル。「他にも席はたくさん空いていますよ」
 一瞬、不細工な表情をしたノエルだが、すぐに笑みを浮かべてやんわりと断る。

「うん。でも、アイリーン嬢の隣はここしか空いていない」
 アイリーンは、飲み込もうとしていたデザートを吹き出す勢いだった。口を閉じたまま目を見開き、そんな変なことを言う男に視線を向けた。

 噂をすればイブライム。と、金魚のフンのジョアキナ。

「アイリーン嬢は、この学院に慣れたかな?」

「イブ。私たちは、そこに座っていいとは言っていません」

「でも、空いているよね。空いているのに座ってはいけないって言うのかい?」

< 59 / 365 >

この作品をシェア

pagetop