【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「そういえば、あなたたち御兄妹(きょうだい)は、外国語の授業が苦手でしたね。さきほどのエルのプーランジェ語もあまり上手とは言えませんでしたが」
 私でさえ、もう少しマシなプーランジェ語を話せます、とジョアキナは言う。

「だからだ。すべての科目において、エルに負けている。あれに勝てそうな科目はプーランジェ語くらいしかない」

「王族たるもの、異国の言葉の五つくらい、覚えていただきたいものです」
 その言葉にイブライムはキッと睨む。

「苦手なんだから、しょうがないだろう」

「でしたら、あなたもプーランジェに留学してみてはいかがですか?」
 その言葉にもう一度キッと睨む。
「すいません。留学以前の問題でしたね。その言語力では、留学したとしても、言葉が通じなくて三日で帰国するのが目に見えています」
 イブライムは毒のような言葉を吐き続けるジョアキナから目を離さない。睨まれている彼の方は、優雅に昼食を口元に運んでいた。

 そんな二人の様子を遠くから見守る人物が一人。ご想像の通りのアイリーン。使った食器を片付けるべく席を立ったのだが、あの二人の怪しい様子が気になって仕方ない。
「どうかしました?」
 ぼやっとどこかを見つめているアイリーンにヘレンが声をかけた。

「あ、はい。なんでもありません」
 アイリーンはそう答えるものの、視線の先にはあの二人。その視線の先に気付いたのはノエルだった。
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