【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 そしてヘレンは本棚に並んでいる本のジャンルについて、大まかに説明する。甘美、推理、歴史、その他という感じらしい。なぜこんなジャンルかというと、文芸部員の趣味によるもの。

「リーンさんは、どのような本をお読みになっているのですか?」
 本棚の前でヘレンが尋ねた。この娘は純粋に本が好きなんだな、と感じる。
「ありきたりですが、恋愛ものです」
 ここで言うアイリーンの恋愛はもちろん、男女の恋愛にかぎったものではない。

「あら。ノエルさんと趣味が合うかもしれませんね」
 くるりとヘレンはノエルの方を向いた。
 ノエルはソファに座って、何かしら一冊をすでに広げている。

「あの、ヘレンさんはどのような本がお好きなんですか?」
 アイリーンは尋ねた。

「私はミステリーです」
 即答する。

「リーン。騙されてはいけないわ。ヘレンの言うミステリーって人殺しだから。ヘレンはね、一日一死体読まないと気が済まないのよ。前なんて、『これは人が死なないミステリーだ、騙されたー』って嘆いていたんだから」

「ノエルさん。誤解を与えるようなことは言わないでください」

「あら、だって事実でしょ?」
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