【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「それで、早速で悪いんだけど。新入生の勧誘について、どうしようね」
 腕を組んでルークが切り出した。
「アイリーンさんが入部してくれて、これで二学年は三人になった。今のところ全部で五人。五人いればなんとか部としての存続は可能だけれど、やはり一学年から最低二人は欲しいな」

 アイリーンは、ノエルに促されて空いているソファに座る。多分、これからここがアイリーンの定位置になるのだろう。悪くない。

「アイリーンさんは初めてだから、新入生勧誘について説明するわね」
 ルークの斜め前に座っているサラが続ける。
「まずは、生徒会主催の新入生への学院紹介の集会があるの。そこで、各部活動の簡単な紹介をすることになるのね。それから、十日程の新入生の部活動見学。そして、正式に入部っていう形になるのよ」

「つまり、悩まれているのは。その部活動紹介の内容、ということでしょうか」

「アイリーンさんは、こちらの言葉も堪能なのね」
 サラがふふっと上品に笑う。
「部活動紹介は、紹介文を読み上げるだけだから、特に悩む必要はないのよ。むしろ、部活動見学の方。さすがに、いつものように本を読んでいるわけにはいかないでしょう?」
 だからといって、ひたすら文章を書いているわけにもいかないだろう。

「そう言われると、悩みますね。毎年、どのようなことを行っていたのですか?」

「毎年ねぇ……」
 ルークが顎に右手をあてた。
「特に何も」

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