【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「え?」
 アイリーンは聞き返す。

「特に何もやっていなかったんだよね。本を読んだり、書いたりするのが好きな人が入ってくれればいいかな、と思っていて。でも昨年、さすがにね、部の存続の危機、というようなことを生徒会の方から言われてね。今年こそは真面目に勧誘しようかな、という話を昨年度の終わり辺りからこのメンバーで相談していたところだ」

「そうなんですね」
 とアイリーンは呟いたものの、存続の危機に立たされた文芸部をどのようにして盛り上げていくべきか、ということを考えていた。
 部の存続の危機。だから、ノエルもヘレンもお昼休憩のときに話題にあげたのだろう。
 アイリーンにとってプーランジェにいたときの文芸部はオアシスだった。そのオアシスが無くなる、ということを想像したら。つまり、貴重な水源が無くなり、砂漠に飲み込まれて干乾びてしまう、ということ。
 すなわち、それは心の死。
 ただ部活動という場にかぎらず、好きであればどこでも活動はできるかもしれない。だが、同志がいるということは心強いのだ。

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