【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「まぁ、その名の通りパーティなんだけど。普通に集まって食事して踊っておしまい」
 わかってはいたけれど、アイリーンが想像する通りのものだった。わかってはいたけれど。

「ああ、そうなんですね。なんとなく予想はしていましたが」

「そうよね、初めてだし、知らない土地だから不安よね」
 それとなく空気を察してくれたノエルが声をかけてくれる。
「え、ええ。そうですね」
 ということにしておこう。本当は面倒くさいから、という理由なのだが。
 だって今、この会長は踊ると言った。結局、貴族の嗜みのダンスだ。しかも知らないこの国で知らない男性と踊らなければならないのだろうか。
 いっそのこと、欠席してしまおうか。あとでこそっとノエルに相談しよう。

 会長が事前に準備してくれた紙ペラ一枚のおかげで、今日決めるべきことはすんなりと決まった。だけど、このまま寮に戻るには中途半端。もう一度文芸部室に戻って、本を一冊借りてから戻りたい。

< 73 / 365 >

この作品をシェア

pagetop