【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「どう? 生徒会の方もやっていけそう?」
 ノエルが不安そうに声をかけてきた。
「ちょっと巻き込んでしまったかなと思って、少しは反省しているの」

「はい。でも、これもアスカリッドについて学べるいい機会ですので。何もできませんが、お手伝いしますね」

「リーンって本当にいい子ね。私が男だったら、お嫁に欲しいわ」なんてまで言っている。
「本当に、プーランジェに婚約者はいないの?」
 ノエルは急に立ち止まり、くるりとアイリーンの方に向き直って、人差し指を突き付けてきた。
 アイリーンは驚き。
「ええと。うーん、いないのはいないんですけど。婚約者候補になっていたのを辞退しましたので」

「辞退?」

「はい、どうしても留学したかったので」

「誰の?」
 ここでいう誰の、とは誰の婚約者候補になったのか、という意味だろう。

「王太子殿下です」
 一瞬、ノエルは黙る。多分、いろいろと考えをめぐらせているのだろう。

「リーン。あなた、やるわね」

「留学っていう名目がありましたから」
 それに納得したのか、ノエルは再び文芸部室に向かって歩き出した。

「やっぱり、リーンは最高だわ」なんて呟いている。何が最高なのだろう。
< 75 / 365 >

この作品をシェア

pagetop