彷徨う私は闇夜の花に囚われて
でも、本心と表情は前向きにはなれない。
薄々と紅バラくんから敵意は感じていたから、紅バラくんのましろへの好意は丸わかりだったけど。
まさか二人が両想いだったなんて思いもしなかった。
だって彼女は男の子が苦手だって言ってたんだもん。
紅バラくんが告白したところで、秒で振られてしまうんだろうなって思ってた。
『そっか……付き合っちゃったか』
という切なさをなんとか飲み込んだけど、表情は取り繕えず。
やりきれない想い、消化しきれない想いがもどかしくてたまらない。
『初めまして、雑談の配信をしているましろです』
真っ先に惹かれたのは彼女の声だった。
暇つぶしにいろんな配信を巡回していた僕。
柔らかく鼓膜を揺らし、ほのかな甘さが舌に伝わってくるような声色で。
配信開始の通知が来る度に無意識にそれをタップして、彼女が作る世界へ吸い込まれた。