彷徨う私は闇夜の花に囚われて



『可愛い、ですか?ありがとうございます』


可愛いと褒められて素直に、でも控えめに喜ぶ彼女。


逆に“ありがとう”を何度も伝えてくる彼女。


純粋さと謙虚さを持ち合わせる彼女は、欲にまみれたネットの世界ではいい意味で浮いていて……だからこそ、それほど時間も経たないうちに惹かれてしまった。



実際に会ったこともない人間に恋をするなんてバカみたいだって、周囲の人たちは口を揃えて言うけども。



会ってないからなんなのだろうと、僕はいつも不思議に思う。


向かい合って話しているときの方が人は本音を隠していて、相手の本性は見えてこない。


現実での繋がりがないからこそ許せる心。


対面じゃないからこそ見えてくる相手の本性。


そういうものがあるから色眼鏡や打算なしに人との繋がりを持てるし、純粋に人を好きになれる。


相手の確かな情報を知る方法はあるかと聞かれたら、それは返答に困ってしまうけれど。


他人にバカだと笑われるような想いではない。


好きになってしまったものは仕方がないと開き直ってしまうんだ。



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