彷徨う私は闇夜の花に囚われて
「ツバキくんが嫌じゃなければ、これからも3人で話したりできたらなって思うんだけど……どうかな?」
そして今、彼女のこういう鈍くて優しいところが魅力的で、残酷だと痛感している。
僕の想いに気づいて欲しいという欲望。
僕の想いに気づかないでずっと仲良くいられたらという願い。
繋がりを切ってしまえば楽にもなれるのに、僕はそうしたくない。
なにも知らずに“これからもよろしく”なんて無邪気に言ってくる彼女は天使か悪魔か。
「もちろん嫌なんかじゃないよ!またたくさんお話ししようね!」
「良かった……変に遠慮されるんじゃないかって心配してたの。ありがとう、ツバキくん」
「どういたしまして!」
彼女の眠そうな『おやすみなさい』を最後に、通話を終える。
電気を消してベッドに仰向けに寝転がるも妙に目が冴えて眠れない。
耳に残っている彼女の声が今もなお僕の心臓を強く鳴らして。
『僕が先に出会っていたら?僕が先に告白していれば?』
未練がましく、たらればを考えずにはいられない。
溢れても止まることを知らない僕の中にある想いはどうしたらいいんだろうか。
これから先、彼女を僕のものにするのは絶対に無理なことなのか。
一人、暗闇に包まれた部屋の中で浮かぶ一つの妄想。
「もしも紅バラくんがいなくなったら、ましろは僕を選んでくれるのかな?」
……なんてね。