彷徨う私は闇夜の花に囚われて



画面をスクロールさせた後、再び私にスマホを突き付けるすみれちゃん。


仕方なくスマホを覗いてみると、そこには今までにましろ宛てに送られていた一方的なメッセージがいくつも表示されていて。


『今日も配信頑張ってたね。お疲れ様』


『怯えなくても大丈夫だよ。邪魔な奴らはこっちで処理しておくからね』


『好きだよ。早く独り占めできたらいいのに……』


……私には受け止めきれそうにないほどの重たい愛がたくさん並んでいた。


だけど、ましろ個人への返信は冬を境にぱったり送るのをやめたらしくて。


代わりに呟く頻度が増えたのだと、すみれちゃんが画面を切り替える。


『早く、早く。他の人のものになる前に手に入れないとね』


『ずっと一緒にいようね。約束だよ』


『愛してる』


愛という名の、独占と束縛の欲を呟いているそのアカウント。


私の知らないところでひっそりと吐き出されていた私への重い愛に、うっすらと鳥肌が立ってしまった。


< 105 / 204 >

この作品をシェア

pagetop