彷徨う私は闇夜の花に囚われて
でも、それだって日付が近いのはたまたまで、妄想癖のあるファンが私のことを勝手に運命の人と思い込んで呟いている可能性の方が大きい。
なのに、すみれちゃんは“絶対”と決めつけているんだから、なんとかして私たちを別れさせたいと思っているのがわかる。
「はぁ……」
二度目の大きなため息。
露骨な呆れにすみれちゃんがびくりと身体を震わせた。
「ご、ごめんね。お願いだから嫌いにならないで!」
ぎゅっとしがみつくように抱き着かれて、私はなにも言えなくなる。
私だって嫌いになんかなりたくないんだよ……。
でも、すみれちゃんは私の邪魔をしようとするでしょ?
私の幸せを消そうとしてくるでしょ?
大好きだったけど。
世界で一番好きだったけど。
……もう、親友なんて言いたくないよ。
「……ねぇ、なんでなにも言ってくれないの?私のこと嫌いになっちゃったの?」
「嫌いにはなってな……」
「じゃあ好き?先週は私のことが大好きって言ってくれたよね?変わってないよね?」