彷徨う私は闇夜の花に囚われて
私のことが欲しくて欲しくてたまらないんだってわかった。
残念ながら、私の気持ちは永遠にすみれちゃんへは向かないんだけどね……。
「早くどっか行ってよ!!」
「行かない」
「なんで……!!」
「美紅を守りたいから」
きっぱりと言い切る樹くんは固く決心しているみたいで、私の前から動こうとしない。
私を守ろうとする樹くんを、すみれちゃんは馬鹿にするように鼻で笑った。
「尽くしたとしても美紅ちゃんの心は手に入らないのに?」
すみれちゃんの言葉に罪悪感が募っていく。
ずっと昔から仲良くしてくれて、私を守ってくれたすみれちゃん。
でも、恋愛対象として見られなくて。
暗にそのことを言っているんだろうって察しがついた。
「それに、美紅ちゃんはこれ以上あんたとは関わりたくないって思ってるよ。だから早くどっか行って」
すみれちゃんは樹くんを忌々しそうに睨みつけ、手で追い払うような仕草をした。