彷徨う私は闇夜の花に囚われて
対して紅バラさんはトーンも喋り方も全然変わらず、眠くなさそう。
紅バラさんも課外授業があるらしく、今日は学校に行ってたみたいだけど……もしかして、学校でお昼寝とかしてるのかな?
紅バラさんの学校の話とかも聞いてみたいな……。
「もうちょっとだけ……学校の、話……」
「くっ、可愛いな……。……じゃなくて、声がとろけきってるよ。大人しく寝なさい」
「や……。くばらさ、ん……もっと、しりたい」
だんだんと声が小さくなっていく私。
もはや単語しか喋れなくなっている……。
もっと喋っていたいのに、紅バラさんとの時間は過ぎていくのが早すぎて。
通話を切るのが名残惜しく、理性が働いていない私は駄々を捏ねてしまう。
「俺もましろのことは全て知り尽くしたいよ」
紅バラさんの真剣な声が、薄れゆく意識の中ではっきりと響いた。
『紅バラさんは私のことが大好きですね』
そう揶揄ってみたくなったけど、そこまでできる気力が有り余っていなくて。
口元に紅バラさんには見えない微笑みを浮かべるだけで終わってしまった。