彷徨う私は闇夜の花に囚われて
残念なことに私の予定では5分前には勉強を始めているはずだったから、これ以上は紅バラさんとの時間を引き延ばせないのだけど。
「私も幸せです。紅バラさん、大好き」
ただ、相手に言わせてばっかりで自分が言わないのは公平じゃないし、私が望んでいる恋人関係でもないから。
時間がなくても……想いだけは伝えておくの。
改めて言葉にするのは恥ずかしいけど、がまんがまん。
そうして後からきた羞恥心に耐えていると……
「―――俺は愛してるよ」
ドラマの中でしか聞かないセリフを囁かれ、心臓が強く高鳴った。
あまりにも私の心臓をいじめてくるその言葉は、反撃なんじゃないかとも思えてしまう。
溺れそうなほどの愛に耐えられない私は、赤い顔を隠しながら再びベッドへと倒れ込んだ。
紅バラさんが真っ直ぐに伝えてくる想い。
それは簡単に送られるけど、軽いものじゃなくて。
一文字ずつに濃くて甘い愛が込められている気がする。