彷徨う私は闇夜の花に囚われて
パチパチと拍手を意味する8の羅列や、ただの高校生カップルを推すと言う声。
ついさっきまでは非難で埋め尽くされていたのに、今となっては応援の声の方が目立つ。
中には理解を得られないコメントもあったけど、それでもいいって思えるくらいにほとんどの人が温かい言葉をくれて。
「みなさん……ありがとうございます!」
瞳が潤むのを感じながら、精一杯の感謝を乗せてお礼を言った。
多くの人たちに祝福されるのって、こんなに気持ちが満たされるんだ……。
始めはテンパってどうなることかと焦ったけれど、受け入れてもらえてよかったな。
胸がいっぱいになる一方で、一つの疑問が頭をちらつく。
今時のカップルみたいにプロフィール欄に『彼氏→紅バラさん♡』と書いたわけでもなければ、改めてみんなに向けて報告なんて私も紅バラさんもしていない。
……それなのに、どうして私たちのことを知っている人がいるんだろう?
今回は大ごとにならずに済んだけども、もし鎮火に失敗していたら……。
「さむっ……」
効きすぎたエアコンのせいか、ぶるりと大きく身体が震えた。