彷徨う私は闇夜の花に囚われて



◇ ◇ ◇



「紅バラさん、怒ってますか……?」

「怒ってない」

「……怒ってるじゃないですか」

「ましろには怒ってないよ」

「そうですか……」


炎上事件から一夜が明け、また夜が来たこの通話の時間。


紅バラさんは顔を見なくてもわかるほどの不機嫌さだった。


理由は馬鹿な私でもわかる。


ネット上での顔出し配信という、危険なことをやったからで……。


案の定、私の顔はましろの名前と共に、ネットの海を勢いよく流れているみたい。


呟きアプリの方も配信の方も、フォロワーの数がどんどん増えていってる。


女子高生ってわかった途端にフォローが増えるの、なんだかネットの……いや、人間の闇を感じるな……。


「メッセージで嫌なこととか言われてない?大丈夫なの?」

「嫌なこと……ですか?」

「ほら、ましろはすごく可愛いからセクハラめいたものとか、そういうの」

「えーっと……」


紅バラさんからの心配に、私は答えにくくて口ごもる。


< 136 / 204 >

この作品をシェア

pagetop