彷徨う私は闇夜の花に囚われて
◇ ◇ ◇
「紅バラさん、怒ってますか……?」
「怒ってない」
「……怒ってるじゃないですか」
「ましろには怒ってないよ」
「そうですか……」
炎上事件から一夜が明け、また夜が来たこの通話の時間。
紅バラさんは顔を見なくてもわかるほどの不機嫌さだった。
理由は馬鹿な私でもわかる。
ネット上での顔出し配信という、危険なことをやったからで……。
案の定、私の顔はましろの名前と共に、ネットの海を勢いよく流れているみたい。
呟きアプリの方も配信の方も、フォロワーの数がどんどん増えていってる。
女子高生ってわかった途端にフォローが増えるの、なんだかネットの……いや、人間の闇を感じるな……。
「メッセージで嫌なこととか言われてない?大丈夫なの?」
「嫌なこと……ですか?」
「ほら、ましろはすごく可愛いからセクハラめいたものとか、そういうの」
「えーっと……」
紅バラさんからの心配に、私は答えにくくて口ごもる。