彷徨う私は闇夜の花に囚われて
一瞬で乾いた瞳をスマホの画面に向ける。
トークを何回読み返してもさっぱりわからない、相手の意図。
紅バラさんも私に教えてくれたらいいのに、なにも言ってくれない。
私の目に映るのはただの文字の羅列で、暗号が書かれているわけでもない。
そんなトーク画面を撮って送ってくれなんて、謎が深くなる一方だ。
だけど“紅バラさんのことだからなにか凄い考えがあるに違いない”という信頼が、私を従順にさせて。
「紅バラさん、送信しましたよ」
素直に、紅バラさんの指示に従った。
紅バラさんは画像を見ているのか、私たちの間に沈黙が広がる。
なんとなく、少しずつ空気の温度が下がっていく気がして口を開こうとしたそのとき。
「―――こいつか」
スマホが壊れたのかと錯覚するほどの低い声が、私の耳に圧をかけて。
たった4文字の中に、恨み、憎しみ、怒り、不快感、嫌悪感……ありとあらゆる負の感情が閉じ込められているような気さえした。