彷徨う私は闇夜の花に囚われて
もう大丈夫かなと思った頃に、ちらりと後ろを振り返ってみると。
『美紅ちゃぁぁぁぁぁん!!!なぁんでぇ、にげるのぉぉぉぉぉ!?!?!?』
かっと目を見開いたまま、一心不乱にこちらへ向かってくるすみれちゃんと。
『『『ましろちゃぁぁぁぁぁん!!!』』』
目鼻立ちのはっきりしない壁のような集団が私の背中を追いかけてきて。
『う、うぅ……やだ!追いかけてこないでよっ……!』
大粒の涙が視界を大きく滲ませる。
限界が来ていた足も絡まり、無様に。いや、いっそ綺麗に。
なんのクッションもない無機質な地面へとダイブした。
立ち上がらなきゃいけないのに、気力が失われて起き上がれない。
不思議と痛みは感じなかった。
私が地面と仲良くしている間にも集団は迫ってきていて、絶望がすぐ傍まで這いよってくる。
『怖い。誰か助けて……』
ダメ元で呟いた瞬間。
背中の方からから大きな光が放たれ、視界に光の粒を捉えた私は勢いよく振り返る。