彷徨う私は闇夜の花に囚われて
たまに温かいコメントが目に入ったとしても、感じるのは煩わしさだけで。
ファンに酷い感情を抱いてしまう私は、今すぐにでも配信をやめるべきなんだろうな……。
あんなに夢中になって配信していたあの頃は幻だったのかもしれない。
そんなことを考えてしまうほどに、私の熱は季節の移ろいと共に失われていた。
薄情な自分が嫌いになり、さらに心が病んでいく。
負の連鎖が止まらない。
「ましろ、今日もお疲れ様」
「ありがとうございます。紅バラさんもお疲れ様です」
連鎖を少しの間だけでも断ち切るために、私は今日も紅バラさんと繋がる。
私は耳に届く優しい声に安らぎを覚えて。
安らぎを覚えることに安心感を抱く。
私はまだちゃんと紅バラさんのことが好きなんだって、心で実感できるから。
「今日はテスト返却があったんですよ」
「俺もあったよ。数学と英語」
「えっ、私もその2教科でした。偶然ですね」
テスト返却の日時も科目も一緒。ちょっとした運命。
ほんのちょっぴりのときめきを感じる。だから、私は紅バラさんのことが好き。