彷徨う私は闇夜の花に囚われて
こうして、一つ一つ“好き”を確認していくと、私は胸を張って紅バラさんの彼女だって言えるの。
……でも。
―――好きってこういうものだったっけ?
何度も呪文みたいに唱えて、自分に言い聞かせるような気持ちだった?
冷静になれずに無我夢中。
もっと、じわーっと幸せを実感できるような自然に生まれる感情を抱いていたはずなのに。
いつからか、自分自身で奥底に生まれる僅かな感情を、無理やり引きずり出すようになった。
「ましろ、今日も愛してる」
回数を重ねる度に高くなっていく紅バラさんの熱。
ずっと熱を保ち続けるどころか上昇させられる紅バラさんが心底羨ましく、ずるいとも思ってしまう私は。
「私もですよ」
卑怯な言い回しで、微熱にも届かない感情を返すしかないの……。
◇ ◇ ◇
「……ちっ」
今回も先に寝落ちてしまった私。
ふっと意識が浮上し、静かに寝ぼけ眼をこすっていたらスマホの向こう側で舌を鳴らす音が響いた。