彷徨う私は闇夜の花に囚われて



最初に聞いたときよりはいくらか少なかったけれど……相変わらず私の前とは別人みたいな声の低さに衝撃を受ける。


声を上げなかった自分を褒めてあげたい……。


「ましろの真の魅力を知らないくせに、知ったような口をきくな」


呟きのタイムラインかなにかを見ているのか、鋭い声が私の耳に刺さる。


私に言われていないのがわかっていても、心にまで言葉の破片が食い込んだ。


と、同時に疑問が生じる。


……私の真の魅力ってなんなんだろう?


ネットの人たちに映る姿と紅バラさんが見ている姿。


同じネットの世界から私を見ているはずなのに、一体なにが違うのかな。


紅バラさんこそ、私のなにを知っているって言うの……?


「……こんな奴らがましろに近づくなんて耐えられない。徹底的に潰しとかないと」


『コメント欄のにわかどもを消し去りたい』


ぞくりと。


紅バラさんの独り言にパンジーさんの呟きを思い出し、私は背筋を震わせた。


パンジーさんのアイコンの色と紅バラさんの重みが重なり、私の心を侵食していく。


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