彷徨う私は闇夜の花に囚われて



潰すって、なに……。


また、私の知らないところでこっそり悪いことをしようとしているの……?


嫌だ。


嫌だ嫌だ。


怖い紅バラさんは嫌だ……!!


「文房具一つで幸せになれるの、ましろらしくて好きだな。凄く可愛い」


『新しいペンを買ってテンション上がってたのが可愛すぎる……』


紅バラさんもパンジーさんも反応しているだいぶ前の私の呟き。


『一目惚れした文房具を衝動買いしてしまったのですが、学校で使ってみるととても使いやすくて最高でした○』


ノートをとるときに使う色ペンを探していたとき、細めでノック式のものを見つけた。


サンプルを手に取ってみると、軽くて私の手にも馴染んだから即買いしてしまったんだ。


私はただ嬉しくて呟いただけなのに、それのどこが可愛いの……?


そんなに前の呟きを眺めてなにが楽しいの……?


もう、よくわからないよ……。


「ねぇ、ましろ……控えめな寝息も、俺を疑わない純粋な性格も。全部可愛くて仕方がない。俺はあと何回ましろに可愛いって言っちゃうんだろうね?」


< 163 / 204 >

この作品をシェア

pagetop