彷徨う私は闇夜の花に囚われて
「まさか、ツバキくんなの……?」
2人はなんだかんだで仲が良かったと思う。
紅バラさんは古参の人たちには疎まれていたし、女の人とは関わらないようにしていた。
だから、連絡が取れるのはツバキくんしかいないんだ。
「……っ!」
そこまで辿り着いて、全身に震えが走った。
震えを止めるために自分で自分を抱くように腕を交差させるけど、当然恐怖は去ってはくれなくて。
唯一、私をふんわりと包み込んでくれる羽根布団の中に潜り込む。
……わからない。
確証がない。ただの根拠のない推測。私の想像。
わからないことが、怖い。
そもそも、すみれちゃんはどうしてこんなのを送ってきたの……?
知らなければ良かったって、紅バラさんのときにも十分すぎるくらいに思っていたのに。
なんで、どうして、理由は、目的は?
すみれちゃんも、パンジーさんも、私を裏切っている誰かも。
みんな、私を苦しめたいの……?
これは、復讐……?
私が……みんなを大事にできなかったから……。
疲れて意識を深くに沈めた私はその日、いつの日かに見た悪夢と全く同じ夢を見て。
翌朝、鏡に映った自分の目の下には、濃いクマがくっきりと浮いていた。
―――呪いをかけられた印みたい。
生気のない瞳で自分の顔を眺めながら、ぼんやりとそんなことを考えた。