彷徨う私は闇夜の花に囚われて
カラリと小さくドアを開けて覗き込むけど、職員会議にでも行っているのか先生がどこにも見当たらない。
ベッドの仕切りのカーテンの向こうで人影が揺れ、生徒が一人いることだけはわかった。
……影が動いたってことは起きてるってことだよね。
先生の居場所を知ってたりするのかな。
「すみません。先生がどこに行ったのか知ってますか?」
カーテンを閉じたまま、向こう側にいる誰かに問いかける。
すると、いきなりカーテンが開かれて、
「美紅……?」
「あっ……」
樹くんが姿を現した。それから私の顔を凝視する。
瞳に驚きと焦りの色を浮かべた樹くんは、私の手を強めに引いてベッドに導いた。
そっと頭の後ろに手を添え、そのままベッドに押し倒す。
思考も身体も動きが鈍くなっている私はされるがままで。
そんな私に、樹くんはちょっとだけ怒っているらしい。