彷徨う私は闇夜の花に囚われて
樹くんの仮説
おかゆを食べて満足して。
まだ食べられそうな私のために、樹くんはさらっとヨーグルトも追加で注文してくれて。
ほのかな甘味をスプーンでせっせと口に運んでいると、先にシーフードパスタを食べ終えていた樹くんが口を開いた。
「“パンジー”は草野のアカウントだと思う」
「えっ!?……っけほ!けほっ!」
「ジュース飲んで。落ち着いて」
衝撃的な樹くんの予想。
とろりと喉奥に流れていくはずのヨーグルトが気管に入りかけ、盛大にむせた。
冷静な樹くんとは正反対に、動揺し過ぎな私はコップを上手く掴めなくて。
「はい、飲める?」
口元までコップを持ってきてくれた樹くんのおかげでなんとか落ち着いた。
至れり尽くせりで胸がきゅんと高鳴っ……じゃなくてっ!
樹くんはどうしてパンジー=すみれちゃんだなんて言い出したんだろう……。
じっと樹くんの瞳を見つめ、解説してくれるのを待つ。
私の意図が伝わったようで樹くんは一つ咳払いをして話し始めた。