彷徨う私は闇夜の花に囚われて



そもそも、私がSNSを始めたのはすみれちゃんに勧められてのことで、アカウントの作り方からプロフィールの設定まで手取り足取り教えてもらった。


だから、すみれちゃんはましろアカウントを知っている。


そして私はすみれちゃんのアカウントを知らないから繋がりを切ろうにも誰を切ったらいいのかわからない……。


「あと、パンジーはスミレ科スミレ属の花だってことを教えとく」

「すみれ……」

「根拠としては弱いけど」


パンジーという可愛らしい名前。


誰でも思いつくと言えばそうだし、樹くんが言う通りに根拠とまでは言えないもの。


すごく弱い。


弱い、けど……偶然にしては出来過ぎてるような気もする。


そう思うのは私がすみれちゃんをほぼ黒だと思っているからなのかな……。


「極めつけはさっき見せてもらった呟きに対する反応」

「どれのこと……?」

「ちょっとスマホ触らせてもらう。このましろの呟きには“文房具”としか書かれていない。でも、パンジーは“ペン”って呟いてたんでしょ」


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