彷徨う私は闇夜の花に囚われて
美紅のこと好きじゃないのかって?
好きなんて言葉では言い表せないほどに夢中になってる。
大事にしたいから、ゆっくり。慎重に。
目が合うだけで愛おしさが溢れてしまいそうになるから、美紅の顔すら見られない。
美紅への愛をコントロールできる自信がないから、簡単には触れられない。
可愛さ余って抱きつぶしたらどうしよう。
美紅を傷つける不安でハグすらできない俺。
キスなんてしようものなら、止まらなくなって滅茶苦茶にしてしまうかもしれない。
そんなの、許されるわけがない。
彼氏の俺でさえもそうなのに……軽い気持ちのやつが、美紅を奪うって?
『別にいいけど』
『……え?まじ?よっしゃー!彼氏からお許しもらった!』
『できるものなら。死んだ方がましだと思える苦痛を与え続けるから』
『ひっ……』
『あぁ、これ、秘密にして。誰かに言ったら……なにをしてほしい?』
馬鹿にでもわかる作り笑顔を浮かべると、相手は恐怖で顔を歪めながら教室から飛び出していった。