彷徨う私は闇夜の花に囚われて



そのくせに。


『……そうですね。思い返してみれば、彼に一度も好きって言われたことなかったんです。私が想いを伝えたときも“俺も”とすら言ってもらえませんでした』


“ましろ”から聞いた事実に、自分の余裕のなさをようやく自覚して呆れた。


反省ばっかりだった。


だから、今度こそは幸せにしたくて。邪魔な奴は排除したくて。


……美紅への想いが止まらなくて。


裏アカウントと呼ばれるサブのアカウントまで作ってしまったんだ。


大量に溢れ出て届けられない想いを溜める場所。


紅バラが植物の名前だから、サブもそうしようとしばらく思考を巡らせて。


美紅が小学生の頃にパンジーの花を一生懸命に育てたって話を付き合っていたときに聞いたから、単純にそれをつけてみた。


まさか、裏アカウントの存在が草野にバレて、なおかつ美紅に教えたのが草野だったとは完全に予想外だったけど。


それを逆手に取らせてもらったから草野にも感謝しないといけないな。


あぁ、そうそう。


鍵のアカウントに関しては2つの答えがある。


< 201 / 204 >

この作品をシェア

pagetop