彷徨う私は闇夜の花に囚われて
エピローグ




ネットは怖いし危ないもの。


せめて、知識をつけておかないと大変なことになるよね。


美紅みたいな純粋な子は余計に、標的にされやすい。


そういう子は呟きアプリなんてやめた方がいいんだ。


傷つきやすい繊細な心や、現実を生きている自分の身体を守るためにも。


ちなみに、IDとパスワードがあればログインだけじゃなくてアカウントの削除もできる。


だから、俺は美紅を守るために。


俺がアカウントを消してあげる。


バグだって言えば納得するだろうし、アプリがなくてもいいでしょって聞いたら頷いてくれるはず。


今度はバレないように。もっと慎重に。


家でひっそりやらないと。


「お待たせ、遅くなっちゃってごめんね」


申し訳なさそうに軽く頭を下げる美紅。


些細なことにも誠意を込めて謝れるところも好き。


「大丈夫」

「そっか……。あ、結構時間経っちゃったね。お財布……」

「払っといた。行こう」

「えっ、そんな……!」


バッグから財布を取り出そうとする美紅の細い手を攫い(さらい)、すっかり暗くなった空の下で帰宅ラッシュの波に飛び込む。


< 203 / 204 >

この作品をシェア

pagetop