彷徨う私は闇夜の花に囚われて
エピローグ
ネットは怖いし危ないもの。
せめて、知識をつけておかないと大変なことになるよね。
美紅みたいな純粋な子は余計に、標的にされやすい。
そういう子は呟きアプリなんてやめた方がいいんだ。
傷つきやすい繊細な心や、現実を生きている自分の身体を守るためにも。
ちなみに、IDとパスワードがあればログインだけじゃなくてアカウントの削除もできる。
だから、俺は美紅を守るために。
俺がアカウントを消してあげる。
バグだって言えば納得するだろうし、アプリがなくてもいいでしょって聞いたら頷いてくれるはず。
今度はバレないように。もっと慎重に。
家でひっそりやらないと。
「お待たせ、遅くなっちゃってごめんね」
申し訳なさそうに軽く頭を下げる美紅。
些細なことにも誠意を込めて謝れるところも好き。
「大丈夫」
「そっか……。あ、結構時間経っちゃったね。お財布……」
「払っといた。行こう」
「えっ、そんな……!」
バッグから財布を取り出そうとする美紅の細い手を攫い、すっかり暗くなった空の下で帰宅ラッシュの波に飛び込む。