彷徨う私は闇夜の花に囚われて



たまに最後の言葉のような直球を投げてきて、ドキリとさせられるのは私だけの秘密で。


言葉に詰まるのは正論に返す言葉が見つからないから、ということにしておく。


「僕も僕も!!ましろちゃんにはずっと笑っててほしいな。あーあ、僕がましろちゃんと同じ学校に通えてたら、毎日送り迎えをして守ってあげられるのに……」

『話を聞いてるだけで震えあがってる奴がましろを守れるわけがない』

「うるさいなぁ!僕だって大好きな子のためなら身体を張って頑張っちゃうよ!!」

『絶対無理』

「できるもん!!」


「……ふふっ」


音声と文字で繰り広げられる言い合いが面白くて、平和的で。


ツバキくんの言葉が嬉しくて。


つい、空気を揺らしてしまった。


二人は定期的に軽い口喧嘩を交わすのだけど、それは仲がいいからこそできるものだと思っている。


「ましろちゃん?なーに笑ってるの?」

「ん-ん、なんでもないよ」

「えー!なにそれ!ましろちゃんは不思議ちゃんだね~」

「え?私は普通だよ?」


「『普通じゃない』よ」


うっ、言葉を揃えないでよ。説得力が増してしまう……。


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