彷徨う私は闇夜の花に囚われて



そう思い、すっと息を吸い込み口を開こうとすると、


「……また怖い話があるの?ましろちゃんって、凄い、ね」


後半、声を震わせるツバキくんが浮上した。


ちょっと様子がおかしい。


「ツバキくん、それ褒めてないよね?」

「褒め……てる、よ?歩く本怖……ぷっ、くくっ……す、凄い!!」

「絶対馬鹿にしてるよね!?」


笑い声を隠しきれていないツバキくん。


ついにはマイクの音を切って堂々と笑いを隠すことにしたらしい。


紅バラさんと同様、マイクのマークに赤いバツ印がついた。


沈黙している紅バラさんも端末の向こうで笑っているのかな……?


歩く本怖って言われるほど恐怖体験はしてないはずなんだけどな……。


「あー笑った。いや、笑ってる場合じゃないけどね」

「え、なんかまずいの?」


これなんだろう?と気になってはいたけど、なにかダメなことでもあるのかな。


私にはまだまだわからないことがたくさんあるみたいだ。


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