彷徨う私は闇夜の花に囚われて
「ありがとう。私も二人のことが大好きだよ」
「へへ、嬉しいな」
こっちまで嬉しくなるような明るい声を出すツバキくん。
画面の向こうではきっと満面の笑みを浮かべているんだろうな。
『俺が好きなのはましろだけなんだけど』
「僕もましろちゃんだけだもーん!紅バラくんは意地悪言うからきらい!」
『奇遇だな。俺も嫌い』
「ことばとげとげ星人め!ましろちゃーん!僕傷ついちゃった……僕を癒して?」
『ましろ、騙されないで。そいつは猫かぶった、ただの腹黒だから』
「違うもーん!僕は正真正銘、可愛いでできた男の子だよ!」
「ふっ……ははっ!」
嫌いと言いながらも会話を続ける二人の様子がおかしくて。
いい意味で言葉を選ばない二人の関係性は間違いなく親しくて。
私もそこに加われているんだと思うと愉快で。
今度はお腹の底から声を出して空気を揺らす。
『笑ってるましろが一番可愛いよ』
「うん。楽しそうな声、可愛い」
……あんまり可愛いって言われると顔が熱くなってきちゃう。
お世辞や打算のない正直な言葉に私は頬を赤く染めながら。
―――二人がいたらなにも怖くない。
思いやりと絆で補強された自分の心に気づき、自分は無敵だと。
このとき確かにそう思った。